菌やウィルスについて

最近では野菜を水洗いもせずにいきなり調理に使う方も多いそうですが、食材は自然の農作物や魚介類です。もちろん色んなばい菌やウィルスが付いています。きちんと洗わないと食中毒になる可能性があるんです。ここではこの菌についてご説明します。

ベジアルファの検査結果としてトップページでも表で色々な菌の名前をご覧になられたかもしれませんが、よく見る名前もあったと思います。たとえば大腸菌 O157です。ニュースなどでも良く耳にします。他にもノロウィルスなどもよく耳にすると思います。

しかし多くの方にとってはあまり関心も無くきちんと調べたりする機会も無く知らないまま過ごしてしまっている事の方が多いのではないでしょうか? このページでは代表的な菌についてまとめてゆきます。

大腸菌 O157:H7(腸管出血性大腸菌)

腹痛、出血を伴う水様性の下痢などを発症します。重症化し、死に至ることもあります。動物の腸管内に生息し、糞尿を介して食品、 飲料水を汚染します。少量でも発病することがあります。腸管出血性大腸菌はサルモネラや腸炎ビブリオなどの食中毒菌と同様、加熱(75℃、1分以上)や消毒薬により死滅。

<過去の原因食品>
日本:井戸水、牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、シカ肉、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、メロン、白菜漬け、日本そば、シーフードソースなど。
海外:ハンバーガー、ローストビーフ、ミートパイ、アルファルファ、レタス、ホウレンソウ、アップルジュースなど。

ノロウイルス

ノロウイルスによる食中毒事例では、原因食品の判明していないものが多く、その中には食品取扱者を介して汚染された食品が原因となっているケースが多いことが示唆されている。その他の原因としては貝類(二枚貝)がある。少量のウイルスでも発症する。アルコールや逆性石鹸はあまり効果がない。潜伏期は24~48時間。下痢、嘔吐、吐き気、腹痛、38℃以下の発熱。二枚貝は中心部まで充分に加熱する(85℃、1分以上)。野菜などの生鮮食品は充分に洗浄する。手指をよく洗浄する。食品を取り扱う際は十分に注意し、手洗いを徹底する。調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効。

<過去の原因食品>
貝類(カキ等)。調理従業者からの二次汚染によるサンドイッチ、パンなど。

黄色ブドウ球菌

人や動物に常在する。毒素(エンテロトキシン)を生成する。毒素は100℃、30分の加熱でも無毒化されない。潜伏期は1~3時間。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢。

<過去の原因食品>
乳・乳製品(牛乳、クリームなど)、卵製品、畜産製品(肉、ハムなど)、穀類とその加工品(握り飯、弁当)、魚肉ねり製品(ちくわ、かまぼこなど)、和洋生菓子など。

カンピロバクター

家畜、家禽類の腸管内に生息し、食肉(特に鶏肉)、臓器や飲料水を汚染する。乾燥にきわめて弱く、また、通常の加熱調理で死滅する。潜伏期は1~7日と長い。発熱、倦怠感、頭痛、吐き気、腹痛、下痢、血便等。少ない菌量でも発症。>調理器具を熱湯消毒し、よく乾燥させる。肉と他の食品との接触を防ぐ。食肉は十分な加熱(65℃以上、数分)を行う。

<過去の原因食品>
食肉(特に鶏肉)、飲料水、生野菜、牛乳など。潜伏期間が長いので、判明しないことも多い。

サルモネラ属菌

動物の腸管、自然界(川、下水、湖など)に広く分布。生肉、特に鶏肉と卵を汚染することが多い。乾燥に強い。潜伏期は6~72時間。激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐。長期にわたり保菌者となることもある。肉・卵は十分に加熱(75℃以上、1分以上)する。卵の生食は新鮮なものに限る。低温保存は有効。しかし過信は禁物。二次汚染にも注意。

<過去の原因食品>
卵、またはその加工品、食肉(牛レバー刺し、鶏肉)、うなぎ、すっぽん、乾燥イカ菓子など。二次汚染による各種食品。

腸炎ビブリオ

海(河口部、沿岸部など)に生息。真水や酸に弱い。室温でも速やかに増殖する。3%前後の食塩を含む食品中でよく増殖する。潜伏期は8~24時間。腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐。魚介類は新鮮なものでも真水でよく洗う。短時間でも冷蔵庫に保存し、増殖を抑える。60℃、10分間の加熱で死滅。二次汚染にも注意。

<過去の原因食品>
魚介類(刺身、寿司、魚介加工品)。二次汚染による各種食品(漬物、塩辛など)。

セレウス菌

土壌などの自然界に広く生息する。毒素を生成する。芽胞は100℃、30分の加熱でも死滅せず、家庭用消毒薬も無効。嘔吐型と下痢型がある。嘔吐型:潜伏期は30分~3時間。吐き気、嘔吐が主症状。下痢型:潜伏期は8~16時間。下痢、腹痛が主症状。

<過去の原因食品>
嘔吐型:ピラフ、スパゲティなど。
下痢型:食肉、野菜、スープ、弁当など。

ボツリヌス菌

土壌中や河川、動物の腸管など自然界に広く生息する。酸素のないところで増殖し、熱にきわめて強い芽胞を作る。毒性の強い神経毒を作る。毒素の無害化には、80℃で20分以上の加熱を要する。潜伏期は8~36時間。吐き気、嘔吐、筋力低下、脱力感、便秘、神経症状(複視などの視力障害や発声困難、呼吸困難など)。致死率は20%と高い。発生は少ないが、いったん発生すると重篤になる。いずしによる発生が多いので注意が必要。容器が膨張している缶詰や真空パック食品は食べない。

<過去の原因食品>
缶詰、瓶詰、真空パック食品(からしれんこん)、レトルト類似食品、いずし。(乳児ボツリヌス症:蜂蜜、コーンシロップ)

エルシニア

家畜(特に豚)、ネズミなどの野性小動物が保菌し、糞尿を介して食肉や飲料水を汚染する。低温域(0~5℃)でも増殖することができる。潜伏期は2~3日。主症状は発熱、腹痛、下痢。食肉は十分に加熱(75℃以上、数分)する。低温でも増殖する。冷蔵庫を過信しない。

<過去の原因食品>
主に食肉。サンドイッチ,野菜ジュース,井戸水も報告されている。

ウェルシュ菌

人や動物の腸管や土壌、下水に広く生息する。酸素のないところで増殖する菌で芽胞を作る。芽胞は100℃、1~3時間の加熱に耐える。食物と共に腸管に達したウェルシュ菌は毒素を作り、この毒素が食中毒を起こす。事件数の割りに患者数が多く、しばしば大規模発生がある。潜伏期は8~12時間。主症状は下痢と腹痛で、嘔吐や発熱はまれである。清潔な調理を心がけ、調理後速やかに食べる。食品中での菌の増殖を阻止するため、加熱調理食品の冷却は速やかに行う。食品を保存する場合は、10℃以下か55℃以上を保つ。また、食品を再加熱する場合は、十分に加熱して増殖している菌(栄養細胞)を殺菌し早めに摂食する。ただし、加熱しても芽胞は死滅しないこともあるため、加熱を過信しない。

<過去の原因食品>
多種多様の煮込み料理(カレー、煮魚、麺のつけ汁、野菜煮付け)など。